近代建築の巨匠 ル・コルビュジエ（L e C o r b u s i e r 1 8 8 7 － 1 9 6 5 ）は建築家 であると同時に絵画・彫刻・タピスリーなど美術作品も数多く制作しました。 そもそも時計の文字盤職人でもある父の家業を継ぐ目的で、地元スイスの ラ・ショー＝ド＝フォンの装飾美術学校に学びます。その後パリではキュビスム の影響を受けベルリンから東欧、トルコ、イタリアと東方への旅では建築・工芸 の新しい運動に触れました。生前、午前中はアトリエで絵画制作、午後は設計 事務所で仕事という生活をしていたといわれます。

彫刻家 大森暁生（ 1 9 7 1 － 　）は” C r e a t i o n　 i s　 n o t o v e r . ”をスローガンに 固定概念にとらわれない柔軟な思考と木彫家としての技術力、エンターテイ メント性の高い表現力において類稀な彫刻家です。 その大森氏が2 0 0 3 年頃から制作し始めたものが、家具としての彫刻作品 「家具彫刻」です。作品を目の当たりにしますと、安易な思いつきで創り出され たアイデアの産物ではないことはその存在感が証明してくれます。 生活に取り込む彫刻として大変愉快な作品です。

　本企画展ではル・コルビュジエのアクアチントによる銅版画集「Ｕ Ｎ Ｉ Ｔ É」 カラ― 作品1 7 点、モノクロ作品3 点の2 0 点から成る最晩年の作品を一堂に 展示、大森暁生氏の「家具彫刻」作品、カウンターテーブルなど５ 点を展示 いたします。それぞれのクリエーターの創造の根源を垣間見る展覧会です。 ぜひご高覧くださいますようお願い申し上げます。

万画廊　伊藤愛